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: カルスタ実況者


 始まったアフリカ東部諸国へのリサーチ 
 
 アフリカへの取り組みについて教えて頂けますか。 
 
 神田:アフリカに関しては、まず育成組織をアフリカにつくって、小さな時から我々のフィロソフィーを学んでもらって、現在のSVホルンないし何年後かに経営しているであろうクラブへ入って、上のカテゴリーに羽ばたいていってほしい。そういった場所をつくっていきたいのです。 
 
  同じオーストリアリーグのレッドブル・ザルツブルクがガーナに同じような取り組みをしていましたが、すでに撤退しています。考え方としては一緒なのですが、ガーナはサッカーのレベルが既に成熟しています。我々としてはまだ成長過程にあるアフリカ中部や東部の国、例えばケニア、ウガンダ、ルワンダなどをリサーチしています。 
 
 ケニアですか! リサーチの結果はどうでしたか。またほかに調査している国はありますか。 
 
 神田:まだ詳細は把握していません。調査をしている人間が間もなく帰ってくるので、そこでいろいろと分かると思います。ケニアのスポーツ事情として特に陸上は有名なのですが、球技というところではまだ全然です。1月末にはウガンダ、ルワンダに視察に行きました。 
 
 神田さんと本田選手は現地には行かれたのですか。
 
 神田:まだ行ってないです。本田もです。本人は行きたいと言っていますが、時間の関係でまだ行けていません。ヨーロッパからでもこれが意外と遠いですし病気などのリスクもあります。行けるとするなら今年の夏くらいかと考えています。 
 
  ぜひ視察に行ってみたいと考えていますが、ただ実際の決め事は遠隔操作で決まっていくと思います。我々で会議をして、目指す国を決めてしまえば、後は遠隔で進めていくことになります。僕が直接行くことはなかなか難しい部分があります。 
 
 どういった方が現地に行かれているのですか。サッカー関係者でしょうか。 
 
 神田:サッカー関係の方ではありません。実は飛び込みで、本田に対してアフリカで取り組みをしたいと連絡をしてきた人がいるんです。本田はそういった人の話もちゃんと聞くのです。その方はアフリカが好きで、その後は本田が直接連絡をしていました。彼は最初は自腹で調査に行くと言っていて、現在は社員になっています。まるで昔テレビで流行った「電波少年」のような話ですよね。 
 
 確かに電波少年的ですね。おいくつぐらいの方なんでしょうか。 
 
 神田:大学を卒業したばかりで23?24歳です。でも本田は、そういった方の話もちゃんと聞いて評価するんです。 
 
  また例えば僕は先日筑波大学で講演をさせていただいたのですが、早速何人かの若者がメールしてきました。その中からインターン生が生まれるかもしれませんね。 
 
 ちなみにSVホルンには現在何人ぐらいのスタッフで運営しているのですか。 
 
 神田:オーストリア人のボランティアが凄く多いのですが、社員としては8人で運営しています。そこにプラス、インターン生が2人います。インターン生は多い時には3、4人いますね。我々は選手だけに夢を与えるのではなく、スポーツビジネスに入っていきたいという若者にも夢を与えたいので、彼らを受け入れていきます。 
アメリカ進出は本田選手の長年の夢 
 
 アメリカ進出についてお聞きします。今年1月1日より育成世代の新クラブ「SOLTILO FC Los Angeles」をロサンゼルスに立ち上げられました。既にトライアウトは昨年末より開始されています。U-6(6歳以下)からU-14(14歳以下)まで9つのチームで構成されています。思い返せば一昨年の12月もロサンゼルスのプロサッカーチームであるロサンゼルス・ギャラクシーのホームスタジアム、スタブハブ・センターでサッカースクール『ZOZOTOWN presents HONDA’s SOLTILO SOCCER SCHOOL in LA』を開催。本田選手が約100人近い小学生に直接指導を行いました。アメリカへの並々ならぬ思いを感じます。
 
 神田:アメリカだけでピラミッド型の育成組織が成立するようにしたいと考えています。我々としてはチャンスがあったら広げていき、将来的にはアメリカでプロチームを持ちたいと考えていて、常にそこにはアンテナを立てています。どの場所になるかは今のところ全然分からないですけれども、いろいろな可能性を模索しています。 



: カルスタ実況者


 本田選手は以前「アメリカのメジャーリーグ・サッカー(MLS)は将来世界一のリーグになる」というコメントをされています。MLSに経営者として新しいプロクラブの参入ということも考えられていますか。 
 
 神田:具体的にはまだ何も進んでいません。ただそれは彼の長年の夢でもあり、アメリカにも拠点を置いたというのは、そういった理由からです。確かにアメリカは暮らしやすい環境ですし、将来住んでみたいということも含めて候補として考えています。 
 
 仮にアメリカにプロチームを持つということになると、まずは本田選手がアメリカでプレーをするのが戦略としていいと思います。MLSには日本人選手のニーズもありそうですし、フィットするのも難しくないと思います。
 
 神田:その通りだと思います。キャリアのどこかではアメリカへ行ってアメリカのサッカーと日本のサッカーをつなぐパイオニア的な存在になってもらいたい。日本人選手としてMLSを盛り上げて、全米で地位と知名度を上げておけば、その次のステップの時にものすごくスムーズに進むと思います。なので、いつかはアメリカでプレーしてほしいです。本田本人も将来「世界一のサッカー組織」をつくるにあたって、アメリカでプレーするのは大事だと思っています。 
 「世界一のサッカー組織」をつくるために必要なこと
 
 「世界一のサッカー組織を作りたい」という目標と「アメリカだけでピラミッド型の育成組織が成立するようにしたい」という言葉がありましたが、グループ全体の構想はどうなっていますか。 
 
 神田:前回もお話ししましたように、カンボジアもそうですが、本田グループにはピラミッド型の中で上から下まであり、国ごとに完結するピラミッドも同時につくっています。アメリカでも上を目指せるユース世代、そしてその上にプロというピラミッドをつくるべきです。 
 
  カンボジアのチームは全体のピラミッドの中でSVホルンの下に位置すると考えています。一方、カンボジア・シェムリアップのチームはカンボジアのピラミッドでは1番上。カンボジアには現在スクールはあるのですが、その間がありません。しっかりとその間をつくって下部組織を完成させ、下から上がって最終的にはシェムリアップでプレーできるようなピラミッドを完成していかなければなりません。またサッカーを通した教育も重視しています。
 
 サッカーを通じた教育というところで、よくフィロソフィーという言葉が出てきましたが、本質はどういったことでしょうか。 
 
 神田:確かに我々はフィロソフィーという言葉をよく使いますが、なかなか説明するのは難しいですね。SVホルンではよく“Never Give up”“Hardwork”を掲げてやっています。しかし実際は本田と接したり、グループの中で体で感じていたりするもので言葉にするのは難しい。サッカーで言えばしんどい時に仲間のために動けるかどうか、決してあきらめない精神を最後まで持てるかというところですね。 
 
 教育という観点で、サッカー以外でも何か進めている事業はありますか。 
 
神田:IT教育、例えばプログラミングなどを教えることを考えています。そういった会社とうまくお付き合いをさせていただいています。 
 
  今のサッカースクールの問題点を考えた時、4?5年生になると塾に行くために辞める子が結構多い。社会的事情でスクールを去る子供に対して、勉強を教えたり、流行っているプログラミングの教育をしたりするなどのスクールをうまく組み合わせてやっていけないかなと模索しています。すでに現実に動き始めています。 
 
 教育以外で始めようと思っている事業はありますか。
 
 神田:オーストリアでいえば、今の現状ですとSVホルンは我々が抜ければ100パーセント潰れます。今後ずっと保有するという確約もありません。そんな中でずっとお金を稼げる軸は作っておきたいと思っています。 
 
  まず素人の私が単純に考えることは飲食でした。僕は熊本出身なのですが、一つ思いついたのがラーメン屋さんです。実際に地元の熊本の企業さんに声を掛けさせていただいてます。飲食以外にも他にいろいろなことを考えています。やはり「とりあえずやってみる」が我々のフィロソフィーの1つです。また本田圭佑が一番嫌いなのが「無理」という言葉。そういったこともフィロソフィーの一部です。(次回に続く) 
 
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/230078/012500075/?P=3





 

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